医師の処方意図

処方意図がわからない!? 謎解き処方箋〜ペリアクチン〜

私たち薬剤師に伝えられる情報は、処方箋内容と患者さんからの訴えだけですよね。

 

患者さんからの訴えも、クリニックで受診するときのように細かく教えてはもらえません。

 

処方箋内容から推測して、うまく誘導して患者さんがお話してくれるようにしなければ患者さんからの情報も得ることはできないことがあります。

 

処方箋に書かれた情報から、患者さんが、どのような症状を抱えてクリニックを受診したのか、経験と薬学的知識からわかることが多いのですが、時々謎解きのような処方箋に出会うことがありますね。

 

今日、私が出会った処方箋も謎解き処方箋でした。

 

患者さんは、医師に症状を説明しているので、薬剤師にまで同じことを言うのを嫌がります。だから私はなるべく「今日はどうされましたか?」という質問はしないようにしています。

 

ある患者さんが持ってこられた処方箋には、

 

ペリアクチン錠4r 0.5錠 1日1回夕食後 28日分
アマージ錠2.5r   1錠 頭痛時 5回分

 

と書いてありました。

 

第一世代の抗ヒスタミン薬と片頭痛の薬が処方されていることに頭をかしげました。それも、成人なのに0.5錠…?

 

薬歴には、片頭痛の既往歴が記載されていたので、まずは、

 

「片頭痛ですか?アマージ錠が頭痛時に5回分出ています」

 

「あと、もう一つ抗ヒスタミン薬のペリアクチン錠が0.5錠、1日1回夕食後に出ています。こちらのお薬は、初めてですか?」
(これで、何か手がかりが聞き出せたらいいけど…。)

 

「片頭痛は、以前からあってアマージはいつも貰っています。片頭痛と同時にお腹も痛くなることを先生に伝えたら、新しく薬を出してもらうことになりました。」

 

(ちょっと待って!!腹痛に抗ヒスタミン薬のペリアクチン!?ますますわけがわからない??)

 

(アレルギーの薬を腹痛に使うってどういうこと??もうわからないから正直に患者さんに聞いてみよう)

 

「ペリアクチンはアレルギーに使用されるお薬なのですが、このお薬について先生から何か聞いていますか?」

 

「私の場合の腹痛は片頭痛に関係して起きるらしく、それでこのお薬を追加で貰うことになったみたいです。」
(へぇ〜、そんな使い方もあるんだ。あとで、調べてみないと!!)

 

「そうなのですね。このペリアクチンは服用により眠気が出ることがあるので、夕方に服用となっています。服用による眠気が強く出る場合は、寝る前に服用してもいいですよ。車の運転をする予定がある場合などは気を付けてくださいね。」

 

頭の中は、まだ謎だらけのまま何とか服薬指導を終えることができました。

 

薬剤師なら、何でも知っていると思ったら大間違い。今回のように変わった使われ方をする薬の場合には、患者さんから教えてもらうこともあるくらいなのです。

 

とにかく、今日は優しい患者さんでよかった。

 

患者さんによっては、「薬剤師なのにそんなことも知らないの?」と露骨に言われてしまう事もあるので、正直ビクビクしていました。

 

その後、処方箋の処方医を見ると、私の友人Y医師の名前が書いてありました。
(ラッキー!!)

 

Yさんとは高校同級生で、最近私の門前の総合病院に来たばかり、仲良しで連絡先も知っているので、仕事終了後に早速電話してみると

 

「忙しいのにごめんね。今日、片頭痛の患者さんが処方箋持って来て、腹痛にペリアクチンが処方されていたの。私、処方意図が全く分からなくて、ペリアクチンってそんな使いするの?」

 

(ほんと、忙しい医師を捕まえて迷惑な友人だと思う。自分で調べろとか思うよね)

 

「あぁ、あれ、私の処方でしょ(笑)。あの患者さんの腹痛は片頭痛による随伴症状だから、抗ヒスタミン作用と抗セロトニン作用のあるペリアクチンは、ヒスタミンとセロトニンの両方を抑制することで、低用量で腹部片頭痛にも効果的なんだ。内科の処方ではあまりこんな使い方はしないから、わからないよね。

 

(謎解きの糸口が見えてきた。腹部片頭痛かぁ〜。まずは、そこから勉強だな)

 

「ありがとう。謎が解けたよ。そうだ、今度一緒にご飯でも行かない?この近くに新しいパスタのお店ができたの、知ってる?結構、おいしいんだよ。どう?都合は合わせるよ。」

 

(忙しい医師に向かって、ご飯に誘うなんて、ホント迷惑な友人かも)

 

「ぜひ、行きたい。私も新しいお店気になっていたんだ。」

 

と言う感じで、本日の謎解きは終了しました。医師に回答を聞くなんて反則のような気がするけど、やはり困った時の友人だと思いました。

 

今日もやっぱり勉強不足を痛感する薬剤師でした。