ヒヤリハット

薬剤師のヒヤリとした瞬間 〜投与量間違い〜

口頭指示での危険

 

病院薬剤師として勤務し始めて3年目のことでした。私の勤務している病院は210床の個人病院で夕方に日勤帯の医師と当直の医師が入れ替わります。

 

当直の医師は、病院に勤務している医師が交代で当直をすることもありますが、それだけでは人数が足りないためアルバイトの医師が他病院からやってきて当直するという形でした。

 

その日は、他病院からのアルバイトの内科医が当直をしていました。
夕方、入院中の50代男性が痙攣と高熱をだし、医師が口頭指示で「セルシン 1アンプル」と看護師に伝えました。

 

医師から指示を伝えられた看護師が薬剤部までセルシンを取りに来ました。
私の病院ではセルシン注10rを採用しており、私は何の迷いもなくセルシン注10rを1アンプル 渡しました。

 

緊急を要した口頭指示のセルシン注10r、 1アンプルのオーダーは電子カルテ上にまだ入力されておらず、その時には確認することができませんでした。

 

その後、さらに病棟ではバタバタとしているようでしたが、薬剤部では患者さんの様態が悪いのだろうと思っていました。

 

 

規格を把握していなくて投与量間違い

 

後で、詳しい話を聞くと、セルシン注射液は5rと10rの2つ規格があるのですが、アルバイトできた医師の病院ではセルシン注5rを採用しており、医師はセルシン注に10rの規格があるのを知らなかったのです。

 

そのため、看護師に手渡されたセルシン注 10rの入ったシリンジを確認することなくそのまま筋注してしまいました。

 

私の病院には、セルシン注は10rしかなく、5rの処方の場合は10rを半量使用するという方法で治療に用いられていました。

 

医師の指示した「セルシン 1アンプル」と言うのは、セルシン注5r、1アンプルという意味だったのです。

 

医師も患者さんにセルシン注10mg、 1アンプル投与した後に気付き、病棟ではその後の対応に追われバタバタしていたのでした。

 

セルシン注10rを1アンプル筋注された患者さんは、一時呼吸状態が悪化しましたが、医師と看護師の迅速な対応で一命を取り留めました。しかし、病院中がヒヤリとした瞬間でした。

 

 

薬剤師としてできること、細かく確認

 

私たち薬剤師がきちんとこのような用法用量ミスに気付くことができたらと思い、その後仕事に取り組んでいます。

 

実際に病院内では、口頭指示は原則禁止となっています。しかし緊急時やむを得ない場合や検査・処置中など電子カルテ上オーダーを入力する時間的余裕がない場合は、口頭指示しかできないこともあります。

 

その場合は、患者さんのフルネーム、薬剤名、用法用量などの情報を伝えて、声にだして復唱し、指さし確認などを行い薬剤投与するようにというマニュアル化されました。

 

緊急を要する状況で、医師や看護師に指示の曖昧さを指摘するのは勇気のいることなのですが、正確な指示を確実に確認していかないと、重大なミスが生じるということがわかりしっかりと確認することを心がけています。