グロリチンで疑義照会

薬剤師の「今日はいい仕事したかもと思える日」。

正直、薬剤師って地味な仕事

 

薬剤師の仕事って「処方箋に書いてある薬を棚から取って、数をかぞえて袋に入れるだけと思っている人も多いですよね。ちょっと、悲しい。

 

高齢化に伴う医療費削減でも、調剤報酬などの面で調剤薬局への風当たりが厳しくなっているし…。

 

政府の政策で、多額の医療費をつぎ込んで医薬分業を進めてきたけど、「薬剤師は国民から認められるだけの働きをしてこなかったのでは?

 

なんて声があがっている今日この頃です。

 

毎日、私たち薬剤師は処方内容にミスがないか、調剤にミスはないか、神経を張り詰めてチェックしているのですが、大部分の作業はチェックですから、地味な業務です。

 

医師や看護師のように命を救うみたいなカッコイイ場面はほとんどないのです。

 

私たち薬剤師は、朝から晩まで、単調な作業をどれだけ気を抜かず集中して行うことができるかという仕事なのですね。

 

患者さんのために

 

でも、今日は、ちょっと薬剤師として患者さんの健康のために役に立てたかも。と思えることがありました。

 

いつも私のいる調剤薬局に来られているSさんです。

 

Sさんは、待ち時間の間に薬局内にある血圧計で自分の血圧を測っていました。

 

そして、お薬をお渡しするときに、「今、血圧計で血圧を測ってみたら収縮期血圧が150mmHgもあったの」、「今まで、こんなに血圧が上がることはなかったのに、どうしたのかしら?」と言われました。

 

「それは、ちょっと高いですね」と私が答え、話を続けていました。

 

Sさんは、半年ほど前から、グリチロンを服用中です。Sさんには高血圧の既往歴はありません。

 

私は、偽アルドステロン症の可能性があるかもと思い、さらにSさんから話を聞きました。

 

「体がむくんだりすることは、ないですか?指輪がはめにくくなったり、足を指で押してくっきり跡がつくとか?」「体重が急に増えたりするようなことはないですか?」など尋ねました。

 

そうすると、Sさんから「そういえば、少し前から、指輪がはまりにくくなってきた」「体重も増えている」という答えが返ってきました。

 

「ちょっと待っていてください。お薬の副作用がでているのかもしれないので、クリニックの先生に相談してみますね。」と言って、私は、医師に疑義照会を行いました。

 

Sさんの血圧値や浮腫についての情報提供を行うと、「浮腫や血圧上昇という症状が、確かにグリチロンによる副作用かもしれない。グリチロンは服用中止にした方がいいかもしれない」と医師から言われました。

 

グリチロンは中止となり、Sさんの何気ない一言から、副作用を発見することに繋がりSさんの健康を守ることができた瞬間でした。

 

もし、ここで血圧が高いというSさんからの話を「一時的なものかもしれないので、様子をみて高い血圧が続くようなら医師に血圧の薬を出してもらいましょうね」などと対応していれば、このグリチロンの副作用に気付くことはできなかったかもしれません。

 

今日の私は、よく気が付いた!!と自分で自分を誉めてあげたい気分です。

 

持っている知識を患者さんのために活かせる知識へ

 

グリチロンの副作用として偽アルドステロン症という知識を持っていても、その初期症状に気付くことができなければ、患者さんのために活かせる知識ではないということになってしいますよね。

 

私の中の知識も、まだ患者さんのために活かせる知識ではない状態のものがたくさんある気がするな…。

 

毎日、仕事をしていても、今日のように薬剤師としての知識が患者さんのために活かせた!!という仕事ができる日は、正直めったにないです。

 

でも、薬剤師は薬の数をかぞえて袋に入れる作業をしているだけではないのですよ。処方内容、調剤に間違いがないかなど、常に確認とチェックを怠らず、患者さんが不安や疑問なく薬を飲めるために頑張っているのです。

 

でも残念ながら、他の医療関係者や患者さんにあまり薬剤師の頑張りは伝わっていない気がします。

 

もっと、頑張らないといけないってことかな。今日の経験を忘れず、頑張ります。