服薬指導のトラブル

新米薬剤師がやりがちな〜服薬指導トラブル〜

服薬指導で副作用の説明をするも・・・

 

大学を卒業し調剤薬局に勤務して、1年くらいたった頃の出来事です。ようやく服薬指導にも慣れてきて、患者さんの前でも落ち着いて振舞えるようになってきたところでした。

 

いつものように、患者さんにお薬を渡し、薬の説明をしながら、服薬指導を行っていました。その時の薬がメバロチン5r。コレステロール値が高いといことで処方されたメバロチンでした。

 

薬学部で勉強した人なら誰でも、メバロチン、リポバス、リピトールといったスタチン系HMG‐CoA還元酵素阻害薬と言えば、副作用として横紋筋融解症が浮かんでくると思います。

 

私も、もちろんここで言わなければいけないことは、副作用の横紋筋融解症だと判断し、服薬指導に臨みました。

 

「今日処方された、メバロチンはコレステロールを下げるお薬です。服用の際には、注意していただきたい副作用に横紋筋融解症と言う副作用があります。

 

メバロチンの副作用症状として、手足、肩、腰などの筋肉の痛み、体に力が入らない、だるいといった症状がみられます。また、尿が赤褐色になることがあります。

 

これらの症状に早めに気づいて治療すれば問題ないのですが、放っておくと命に関わることもあるので注意してください。

 

筋肉が壊れることにより起こります、進行すると壊れた筋肉の成分が腎臓を傷つけて腎不全になってしまう事もあります。

 

メバロチンが原因で起こる場合は、飲み始めて数週間から数か月の間に起きることが多いので注意してください。」

 

患者さんはしっかりと話を聞いてくれて、理解してくれていた様子でした。

 

メバロチンなどスタチン系HMG-CoA還元酵素阻害薬の副作用については、しっかりと勉強していたので、患者さんに上手く説明できたと私も満足していました。

 

クリニックからの苦情の電話

 

それから、1ヶ月後その患者さんがクリニックを受診した際にクリニックの医師から私の調剤薬局に電話がかかってきました。

 

クリニックの医師から直接電話がかかってくることはあまりないので、何があったのかドキドキしながら電話を取りました。

 

1ヶ月前に私がメバロチンについて服薬指導した患者さんが、薬剤師が説明した副作用が怖くて薬を服用することができなくなったと苦情の電話だったのです。

 

その患者さんは、精神的に不安定な所があり、普段から精神安定剤のデパスを服用しており、極度に心配性なので、あのような副作用の説明をされたらメバロチンを服用することができなくなり、治療の妨害になるのでやめてほしいとのお叱りの電話でした。

 

私にとっては、メバロチンの副作用を模範的に説明したつもりだったので、正直ショックでした。

 

生命に危険を及ぼしたり後遺症を残すことがある重大な副作用について、患者さんに注意喚起することは大切な薬剤師の仕事だと思っていたので、それで医師から怒られるとは思ってもいなかったのです。

 

実際に仕事をしてみて初めてわかること

 

改めて、患者さんの薬歴を見てみると、確かに別の日に安定剤のデパスを処方されていて、「心配なことがあると夜眠れなくなる」とのコメントが残されていました。

 

私は、この薬歴からの情報を充分に把握することができていなかったため、患者さんに応じた臨機応変な服薬指導ができていなかったのです。

 

本来なら、薬歴からこの患者さんの性格や注意しなければいけにことを読み取らなければいけなかったのに、未熟な私にはできませんでした。メバロチンと見て、すぐに教科書に書いてあるようなことを患者さんに伝えてしまったのでした。

 

重大な副作用に関する服薬指導は、私たち薬剤師がリスク管理を行う上で極めて大切な仕事です。

 

しかし、誰にでも同じように大学で学んだ知識を提供するだけでは通用しないのが、実際の現場、調剤薬局での薬剤師の仕事の難しいところなのだと感じました。